家族以外は指摘がしにくい

『もっと早く自分が発達障害であることを知りたかった』
ここ最近、芸能人や有名人による、自身が発達障害であったことをカミングアウトするネット記事を見かける機会が増えたように思います。長年の間自身の特性に関して悩まれていたこと。それがあるきっかけではっきりして良かった。大体がそのような感想を述べられているのですが、中には初めに書いたような『もっと早く自分が発達障害であることを知りたかった』といった感想も聞かれます。
本人はもっと早く知りたかった。でもある程度の年齢(大人)になるまでそれができなかったわけですね。

発達障害やその疑いがあることを学生本人が自覚をし、自ら医療機関の受診や専門機関への相談を行うというのは、大学という環境の中で見てきた例でいうと無くはないのですが、そう滅多にあることではありません。大半が周囲から学生本人に対して発達障害やその可能性について指摘することで本人が理解や意識をして動き出します。発達障害やその疑いがある学生本人は障害への自覚ができていない場合が多いので、周りの誰かから言われなければ気がつけないからです。
そうなるとその指摘を誰ができるのか、ということもひとつ問題になってきます。実はここが大学関係者側にとっては悩ましいことでもあります。

例えば大学入学時に障害の有無や障害者手帳取得の有無などの情報を大学側に申告をしていれば大学側も把握ができるのでよいのですが、発達障害やその疑いがあるけれども親子ともに自覚や認識がない場合は、「申告はないけれども、特性からいっておそらくこの学生は発達障害やその可能性があるだろう」という見立てで大学側は学生をみることになります。そのような学生の場合、学内で他学生とトラブルを起こしてしまった。学業で大きな困難を抱えている。ゼミや研究室の担当教員からみて通常の就職や社会活動を行うことが難しいと感じる。などといったことで顕在化し、“気になる学生”として認識をされます。
このような学生は学業や就活で困難を抱え辛い思いをすることが往々にしてあり、遅からず早からずなにかしらの配慮やサポートが必要となります。そのような適切な対応の中でスムーズな修学や就活ができるようにするためにもまずは学生本人やその親御さんには特性の自覚や理解をもっていただきたいのです。

大学関係者側は「特性からいっておそらくこの学生は発達障害やその可能性があるだろう」という見立てはできますが発達障害の診断ができるお医者さんではないので勝手な判断で決めつけることはできません。
また「あなたは発達障害の疑いがあるから一度診断を受けた方がいい」とは簡単に言えることではありません。本人の心情を傷つけかねませんし、また親御さんから「うちの子どもに何てこと言うんだ!」とお叱りをうけてしまう可能性もあります。ですが実際に大学生活の中で学業や就活で多くの困難を抱えて苦しんでいるこのような学生はいるのです。

学生本人が一番辛いのは自分の障害特性に気がつけずに一人で悩んでいるときです。はじめに書きました『もっと早く自分が発達障害であることを知りたかった』とならないためにも、親御さんからみてもし1mmでも1cmでもお子さんの発達障害の可能性に気が付いているという場合には医療機関や発達障害の支援機関などへ相談の検討をしていただくことと、お子さんに対しても障害特性の可能性を伝えていただくことが大切です。それができるポジションにいるのは親御さんですし、発達障害やその疑いのある学生の学業、就活を円滑に進めるために家庭やご家族で出来ることの一つといえます。