学歴があれば就職ができるという誤解

発達障害の学生とその親御さんからの相談を受けていて感じることの一つに、学業に関しての関心が高い方々が多いということがあります。学業に関心が高いというと素晴らしいことのように聞こえますが、こと就職について絡めていえば、“目の前の学業ばかりに目を向けてしまっている”ともいえます。

小学校、中学校、高校、大学。それまでの学生時代では学生に対する評価というのは主に勉強の成績でした。“いい成績を取ることが大切” “勉強ができることが大事”といったように、学力や学歴をとても気にされてきたのでしょう。このように目の前の学業だけに目を向けてしまうがあまりに、“就学の先にある社会に出ること” についてはあまり意識していらっしゃらない親御さんがいます。
このような親御さんの中には「成績がいいので希望の就職先に入れるのでは?」「高偏差値、または名の知れたの大学なので就職ができて当たり前じゃないの?」とおっしゃる方も少なくありません。ですが学力や学歴があれば就職に有利かというと必ずしもそうとはいいきれません。もちろん学力や学歴がある分には評価的にはマイナスにはなりませんが、採用する企業側も求める人材として学力のほかに、コミュニケーション能力や問題解決能力などといったビジネスパーソンとしてのスキルなども重要視してきます。長かったそれまでの学校生活では勉強ができればその先のステップに進めてきましたが、就学の先、就職して社会に出て行くにためにはそれだけではだめなのです。学校生活では必要とされなかった、問われることがなかった能力が社会に出る際には求められてきます。

高学力や高学歴が何事にも優位にはたらくと考えている発達障害の学生やその親御さんの場合、就活の場面で “好待遇の大手企業に入社すること” がゴールとなってしまい、その強い気持から就活がうまく進まない事態に陥ることがあります。多くの場合が、学力や学歴があるのだからいい会社に入れるという思い込みが先行をし、肝心の学生自身の特性の度合いや職業への適性、社会適応能力などを無視した就活を進めてしまい、結果的になかなか内定が決まらない、そのようなことになります。

発達障害特性を学力、高学歴や学校ブランドでカバーをして就職をするということはできません。それよりも大事なのは、学生自身の特性の度合い、職業への適性や社会適応能力を知り、自身に合った環境を探すということです。もし仮にですが精神障害者保健福祉手帳を取得して障がい者枠での就活をする場合にも同じです。学力や学歴よりも、自分の特性をよく理解している方が就職にはプラスにはたらきます。ですから発達障害の学生の就活では、それまでの評価対象であった勉強や学力、学歴、大学のブランドという枠組みから離れて進路を検討していただきたいのです。
学生本人にとってよい方向を見出すことができるように、親御さんには導いてほしいと思います。