就活と学業を同時並行で進めることが困難

発達障害の学生の特性としてあげられるのが、複数のことを同時並行で進めることが苦手ということがあります。そのような特性が大学生活の中で、特に就活に関して弊害となってしまう例をこれまでみてきました。

就活がはじまる大学4年生になると学生各々が就活をスタートしだしますが、大学4年生時というのは就活だけに専念をできるわけではありません。当たり前ですが大学卒業に向けて必要な卒業論文や卒業研究、卒業制作といった課題にも取り組まなければなりません。加えてそれまでの履修で大学を卒業するために足りていない単位があった場合には、足りていない単位の取得のために余分な授業も受けることになります。
このように就活の時期がやって来たとしても、その学生によっては就活以外に大学卒業のためにやらなければならない就学が沢山あったりもします。

これまでみてきた発達障害の学生の多くが就学がスムーズにいかず大学4年生時の時点で卒業に必要な単位の取得ができておらず、就活以外に授業の再履修などをしなければならない状況にありました。(なお、発達障害の学生の留年率は高いです)
就活、卒業のための単位の取得、卒業論文や卒業研究、卒業制作。それらを要領よくマルチにこなせればいいのですが、先ほどもいいました通り発達障害の学生の場合には複数のことを同時並行で進めることが苦手な方が多いので、就活と修学の二つを同時にうまく進められません。そのほとんどが修学の方をおざなりにしてしまい就活だけに必死になってしまうということがあります。その理由としては大学4年生となり就活がはじまると学生達はみな一斉にリクルートスーツを着だして活動をしだします。そのような周りの学生達の動きや変化、環境に流されてしまい、大学卒業のために必要な修学への取り組みを忘れてしまったり、または完全に放置をしてしまうのです。

そうすると就活だけに専念をして授業に出席をしない。ゼミや研究室へ行かない。卒業論文や卒業研究、卒業制作にまったく手を付けない。そのような事態となってしまいます。そもそも就職というのは大学を卒業ができてはじめて成しえることですが、肝心の大学の卒業ができなくなってしまう、そのような状況を作りかねません。(このような事情もあるので発達障害の学生の留年率は高くなります)
実際、相談に来る大学4年生で就活中の発達障害の学生の話を聞いてみると学業、修学に関する話題が出てくることがあまりなく、就活について一生懸命に話します。こちらが心配になり、「就活もいいんだけど、卒業のための単位や修学は大丈夫?」と聞くと、ハッとした表情になります。そうしているうちに、ゼミや研究室の担当教員から親御さんへ「最近ご子息が大学へ来ていないようなのですが…」「このままでは卒業ができなくなってしまいます」といった連絡が入り、そこで親御さんがはじめてお子さんの大学での状況を知ることになる。このようなパターンは本当に少なくありません。

ではこのような状況にならないためにはどうすればいいのかといえば、やはりご家庭内で親御さんがお子さんの現在の大学での修学状況や就活状況に対して細かく確認をするということにつきます。就職のために大学卒業に必要な修学を放置して、結果大学自体の卒業ができなくなるというのは本末転倒です。大学から連絡が入りそこで親御さんがはじめて大学での状況を知るというのでは遅すぎます。ですから上記のような例があるということを親御さんは知っていただき、お子さんの現在の大学での修学、就活状況に対してご家庭内で細かく確認をするようにしてください。