周囲の理解がないと働くのが大変

キミタメ運営人はその昔、某大手企業に勤めていたことがありました。そこは大手ということもあり、毎年春になると新卒社員が何百人と入社をしてくるような職場でした。
新入社員が何百人もいると中には発達障害と思われる社員が含まれていることがあります。同じ部署に配属になったとある新卒社員に発達障害と思われる方がいました。もちろん障がい者枠での雇用ではなく、通常の一般枠の雇用で入社をした社員です。多動性は見受けられなかったものの、特性からおそらくはADHDであった可能性が高いと思われます。

その方は入社後すぐに始まった研修時から周囲の同期新入社員達と比べて作業効率の悪さが研修担当から指摘をされ、“少し気になる新卒”として研修中から配属予定の部署に対して申し送りをされていました。そして研修が終わり実際に配属になったのですが、そこからが大変でした。
まず同時並行で複数の業務を進めなければいけないマルチタスクのような業務があったのですがそれが全くできません。ひとつの作業だけに集中をしてしまい同時にやらなければならないもう一方の作業を完全に放置をしてしまいます。それが原因となり、取引先や顧客からクレームが入ったとしてもそれもまた放置をしてしまい、問題が大きく拗れてから気がついた周囲からの指摘でそれが発覚をする。そのような事態が頻発をしていました。
そうなると会社としての信頼問題にも影響をしてきます。上司からこの方に対して指導が入るのですが、何回注意をされてもまた同じところでミスをし繰り返す。状況は一向に改善されません。
社内外を巻き込んだトラブルを起こしてしまう。それを何回注意をされたとしても同じミスを繰り返してしまう。「自分では気をつけてはいるのですが…、スミマセン…スミマセン…」と、この方は問題を起こすたびに謝るのですが、その原因については自身でも分かっていない様子でした。
お手上げ状態となった上司は結局この方が辛うじてできることだけを業務から切り出して、それだけをひたすらにやってもらうという対応を取ることにしてなんとか部署内では落ち着きました。(ちなみにその後、この方が社内でどのようになったのかはキミタメ運営人がこの会社を退職してしまったので分かりません)

会社組織、産業の現場というのはどこか学校じみた部分もあり、「周りができているのになんであなたはできないの?」「みんなやっているのだからあなたもできないとおかしい」といったように、横並びで評価をされる現実があります。特に新卒社員の場合には同時にスタートした同期社員という存在があるので余計に周りと比べられます。早く一人前になってもらうために成長を求められるので常に評価にさらされますし、最低限ひとりでこの業務ができるようにならなければいけない、入社したらこの時期までには実績を残さなければいけない、といった業務目標を掲げられますので、それができないと周囲からの目や評価も厳しいものとなります。
この新入社員の方の場合、業務内容的に明らかに不向きであったように思います。しかし上司はこの新入社員の事情を何も知らないわけで、それがこの方の特性からくることなのかも分からずに対応に困ってしまったり、また周囲の同期達も同じく理解もないので、「なんであの人だけ業務量が減らされているんですか?不公平じゃないですか?」といった声も出ていました。

自身の特性や適性不適正を自覚、理解できていない。または発達障害であると分かっていてもそれをふせて入社してしまえばなんとかなるだろうという楽観的な考えで就労の現場に就こうとすると、結果的に辛い思いをするのは本人です。不向きなことをやらされ、それができないと上司から怒られる。同期社員はみんなできているのに自分はできない。しかもその原因、理由が自分自身や周囲も分からない。ただただ自己嫌悪になり、それが月曜日から金曜日の朝から晩まで続いてしまうといずれメンタルがやられてしまいます。そうすると考えたくはないことですが、ある時に何かがトリガーとなり、ふと電車に飛び込んでしまおう…。そのように考えだしてしまったらもう最悪の展開になりかねません。
自分自身の人生や未来のためにも学生時代の間に障害特性を知り、理解をすること。そしてその障害特性を周囲に理解してもらいながら働ける環境や自分の適性に合った環境を見つけることを目標として、発達障害の学生やその親御さんは就活そして就職について考え取り組んでください。