インターンシップやバイトの話

自分の特性に対して理解や自覚がないままに就活をはじめてしまうと後々で自分自身が辛い思いをすることにつながります。大学生というせっかく学生でいられる期間に自分の適性を理解しておくことが大切です。
発達障害の学生が大学生の間に自分の障害特性や適性、得意不得意を知れて、かつそれが就労の現場でどう馴染ませることができるのかを知れるよい機会のひとつにインターンシップがあります。
実際にインターンシップへ参加をした発達障害の学生はインターンシップの経験を通じて自分のことをよく知れたり、その先で進路を決める際にとても役立っています。

例えばインターンシップへの参加を通して、
“じっとしていることが苦手な学生がインターンシップを経験してデスクワークが苦手であることが身をもって分かった”
“注意力散漫で車の運転ができない学生が業務で車の運転が必須となる外回り営業は向かないことが理解できた”
などがあります。

なんとなく頭の中で想像をしていることと、実際の体験とでは本人の理解度もまったく違ってきますので、大学4年時にひかえる就活に向けてインターンシップへ参加をすることはとてもよい準備となります。
また、仕事や働くことへのイメージが沸かないような学生にとっては就労のプチ体験ができることで漠然とした不安の解消にもつながります。
インターンシップは実際の就労ではないので発達障害の学生にとってもハードルはそこまで高くはなく、まだ学生という立場なのである意味ではお客さんという扱いで企業は受け入れてくれますので、ミスや失敗をしても大きく責められることもありません。ですから発達障害の学生は大学生の間にインターンシップに参加をする機会があれば是非参加をしてみることを勧めます。そこから自分の適性、適職をみつけらるヒントを得られるはずです。

また就労体験として一般に大学生の間に取り組んでおくとよいとされることにバイトがあります。バイトの経験はそれまでの学校環境にはない世界を知れることや同世代の友人以外の様々な年代や境遇の方たちと関われる機会となります。そして実際にお金を稼ぐという意味でも本格的な就業の予行練習にもなります。通常の学生であればよいのですが、発達障害の学生の場合はその障害特性によっては難しいものもあるのが実際のところです。ここでもやはり大事なのが自分の適性を知っておくということです。そのうえで自分に合ったバイトを選ぶことが大切です。

実際にあった例をあげてみます。
発達障害の自覚がない学生(後に発達障害であることを知り、障害者手帳も取得した方)が自分の障害特性を理解しないままに接客業のバイトをしていたことがありました。接客業ですからお客さんとのやり取りが生じます。ですが相手の気持ちを汲むことや適切な表現で相手に物事を伝えることが苦手という特性があったこの学生はお客さんとの間にミスコミュニケーションが頻発し、接客対応で意思疎通の悪さからお客さんを怒らせてしまうことを繰り返していました。酷いときにはお客さんから罵倒をされることもあり、とても辛い思いをしていました。
本人は一生懸命やっているつもりです。なぜ自分は罵倒をされなければいけないのか。ミスコミュニケーションが起きるその原因が分からない。相手を怒らせてしまう理由が分かりません。後に発達障害であることを知ったこの学生はバイトでの困難の原因が自分の障害特性からくるものであることを知り、また自分の適性、不適正をようやく理解して接客業から作業系のバックヤードへとバイトを変更しました。

このように自分の適性を知らないでいると、本来向いていないバイトに挑むことになり大変な思いをしてしまうことになります。
このような失敗は本来であれば好ましいことではありませんし、本人にとり辛い経験ではありますが、その中でもポジティブな面を探すとすれば、自分の適性、不適正をこの学生は学生の間に理解ができた点で収穫であったと思います。その先にひかえる就活には必ず活かせる糧となったことは確かでしょう。
ですがこれは結果的によかったという例ですし、個々の障害特性によってはやはりバイトが難しいというケースもあるかと思います。しっかりと自分自身の障害特性を理解したうえでバイトを決められるようでしたらいいのですが、それが困難というようでしたらまずはバイトではなく学校社会や家庭環境から離れた場所でのコミュニティに参加をして集団や組織での活動に馴染むことを目標にしてみるのもいいでしょう。