学生ひとりで進路を決めるのは難しい

発達障害の学生は計画を立てて実行をすることや、自主的に判断をすることが苦手な方が多いです。ゆえに一人で就活や進路を決めるというのはとても難しく、もし仮に一人で取り組んだとしてもまったく適性に合っていない職種や業界を志望したり、努力をする方向が間違っていたりと、その先で結果的に本人が苦しむようなことにつながってしまうことがあります。
発達障害の学生が進路の決定や就活を進めるにあたりぶつかる壁をこれまでみてきた例をもとに、より具体的にお話をしていきます。

まず進路を決めるにあたってよくあることとして発達障害の学生の場合、自己評価のズレが見受けられます。進路の決定や就活で必要なのは自己分析をして自分の適性にあった仕事、やりたい仕事を探すのが通常ですが、発達障害の学生の場合その過程で自己評価がズレていることがとても多いのです。
例えば実際の実力よりも自己評価が高すぎていたり、または自分の力を過信している。努力をすればなんでもできるはずだと、身の丈に合わない計画を立ててしまうなど。また中には「私は学生時代に毎朝しっかりと起きて大学の授業も1限から出席をしてきました」などと、ごく普通の生活のおこないを自分の特別な能力として志望動機にしてしまう。などといったこともあります。
このような自己評価のズレに気が付かないまま就活をスタートし、就活セミナーへの参加や学内のキャリアセンターに出向いて相談をする。そこで他者から問題点やズレを指摘されパニックを起こしてしまい、自分の想像と現実とのギャップで苦しむことになります。

このような自己評価のズレから自身のおかれている状況を正しく理解できないがために、進路の方向性や目標もブレやすくなります。
例えば自分にはない特殊な資格や技能が必要な職種への挑戦。または自分が苦手としていることや作業が必須となる職業を志望してしまうなどです。それらは社会性の乏しさから他者と自分との違いが分からない、つまり自己認知に問題があることから生じます。また深く考えたり検討をすることなく衝動的に決断をして動いたり、決めたことをすぐに変えてしまうという障害特性もあってのことです。
自己への理解と世間への理解が正しくできずに周りの学生たちに流されるようにして一人で就活に取り組むと、間違った方向へ努力をしていたとしても気がつくことができずに時間だけが過ぎていってしまいます。

このような“ズレとブレ”を生じさせないためにも発達障害の学生が一人で進路を決めて就活に取り組むというような状況は作らないようにし、ご家庭内で親子間できちんと話し合い、両者ともに特性を理解して適性に合った道を一緒に考えていていくことが大切です。