はじめに

まずはじめに現状についてのお話を。
ここ数年、発達障害を持つ学生の数は増加をしており、日本学生支援機構の調査によると2016年時点で日本全国の大学、短大、高等専門学校で約4100人の発達障害の学生がいることが分かっています。ただこれはあくまで学校に申告をしている学生の数ですので、未申告の方や発達障害だけれども自覚のない方は含まれてはいません。そのような方たちを含めると実際は相当な数になることが推測をされます。

これだけ発達障害の学生が増えている要因としてあげられるのが、世間の認知度が高まったことです。そのきっかけとなったのが2005年に施行された発達障害者支援法です。この発達障害者支援法で発達障害は脳機能の障害として定義付けをされ、幼い頃からの早期発見や教育現場、医療福祉現場での支援体制が整えられました。その結果、昔に比べ顕在化をしてきたと考えられます。
また近年ではテレビ番組で発達障害の特集を組まれたり、書店でも発達障害関連の本をよく見かけるようになりました。このように社会で発達障害の特徴が広く認知をされたことで症状に心当たりのある本人やその親が「もしかして…?」と思い、医療機関で検査を受けて診断をされる。そのような流れもあって発達障害学生の数が増加しているという側面もあるように思います。

これからお話をしていく発達障害大学生の就活についてですが、その際に一つポイントになるのが先ほどにも書きました、“学校に申告をしている学生”と、“未申告や発達障害の自覚がない方” といったように個々に発達障害への気づきや自覚、認識に差があるということです。つまり本人またはその親が発達障害であることを理解しているか? そうではないか?です。 ここが発達障害の学生が就活を進めるうえでとても重要なポイントとなります。

実際、これまで発達障害の大学生とその親御さんからの相談対応を数多くしてきましたが、上記のように本人またはその親御さんが発達障害であることを理解している場合とそうでない場合とでは、大学生活や就活で直面する困難に違いがうまれたり、その先の対処や対応も大きく変わるのです。これは重要なポイントですので是非覚えておいてください。

それとこれから先 発達障害大学生の就活リアルとしてお話しをしていきますが、まず発達障害と一言でいいましても、ASD(自閉症スペクトラム障害)、ADHD(注意欠陥・多動性障害)、LD(学習障害)といったように様々で、学生一人一人みな異なった個性を持っています。ですからこの先を読み進めていくにあたって少しご注意いただきたいのは紹介をするある一つの事例が全て全員に当てはまるというわけではないということです。その点をふまえながらこの先を読み進めていっていただければと思います。
きっと皆さんのお役に立てるのではないか、その思いでお伝えをします。